記事の要点: 明洞レティージェンはコラーゲンを単に補充する施術ではなく、肌自らコラーゲンを作り出すよう促す作用が論文により確認されています。 アテロコラーゲンが分解される過程で生じるグリシンが肌細胞に取り込まれ、酸化ストレスの軽減とコラーゲン合成に関わる可能性が報告されています。
肌のハリ低下はなぜ起こるのか?
肌の老化は単に肌内部の空間が減ることだけで起こるのではなく、加齢や紫外線への繰り返しの曝露によって酸化ストレスが増え、コラーゲンを分解する酵素の働きが活発になることが背景にあります。
反対に新しいコラーゲンを作り出す信号は弱まり、肌の密度やハリが同時に低下していく可能性があります。「肌が以前より薄く感じる」「ハリが落ちてきた」と感じる方は、こうした肌内部の変化が関係していることがあります。
今回ご紹介する論文『Atelocollagen Increases Collagen Synthesis by Promoting Glycine Transporter 1 in Aged Mouse Skin』では、レティージェンに使用されるアテロコラーゲンが肌の中でどのような経路を通じてコラーゲン生成や酸化ストレスに影響を与えるのかを検証しています。
アテロコラーゲンは一般的なコラーゲンと何が違う?
コラーゲンは肌の真皮層を構成する代表的なタンパク質で、肌の乾燥重量の多くを占め、肌を支えハリを維持する役割を担っています。肌には複数の種類のコラーゲンが存在しますが、その大部分はⅠ型コラーゲンです。
Ⅰ型コラーゲンは肌の引張強度と構造的な支持を担い、Ⅲ型コラーゲンは肌組織の柔軟性やハリに関わります。しかし加齢とともにコラーゲンの量や構造は変化し、肌内部の活性酸素が増えることでコラーゲンが細かく分解され、新しいコラーゲンを作る力も低下することがあります。
アテロコラーゲンは、動物由来のコラーゲンから免疫反応に関わりうる末端部分(テロペプチド)を除去した形態です。論文では豚の皮膚から抽出したⅠ型アテロコラーゲンを使用し、ペプシン処理によってN末端・C末端のテロペプチドを除去することで、コラーゲンの三重らせん構造を保ちながら抗原性を低くする加工が行われました。研究に用いられた最終製品は3%濃度のⅠ型アテロコラーゲンゲルで、論文の材料と方法には2mL規格のレティージェン注射剤として記載されています。
この研究の要点は、アテロコラーゲンが分解される過程で生じる「グリシン」というアミノ酸にあります。グリシンはコラーゲンを構成する代表的なアミノ酸であると同時に、肌細胞内で抗酸化物質であるグルタチオンを作るためにも必要な成分です。研究チームは、アテロコラーゲンが細胞によって分解されグリシン濃度が上昇し、このグリシンが肌細胞内へ移動する過程がコラーゲン合成に影響を与える可能性があると仮定しました。
論文の実験結果からわかる肌の変化とは?
研究チームはまず老化した肌環境を再現するため、ヒト皮膚線維芽細胞に過酸化水素を処理しました。皮膚線維芽細胞はコラーゲンを作る代表的な細胞で、過酸化水素で老化を誘導した細胞では老化指標であるp16・p21が増加し、コラーゲン合成に関わる複数の機能が低下していました。
その後、老化した線維芽細胞にアテロコラーゲンを処理して変化を観察したところ、細胞内のグリシン濃度とグリシン輸送体1(GlyT1)の発現が増加しました。GlyT1は細胞外のグリシンを細胞内へ運ぶ通路と理解すると分かりやすく、GlyT1を阻害する薬剤を併用した実験では、アテロコラーゲンを処理してもグリシン濃度が十分に上がらなかったことから、GlyT1を介したグリシン移動が重要な役割を果たしていることが確認されました。
同時に抗酸化関連の指標も確認されており、老化細胞ではGSH/GSSG比が低下し、DNA酸化損傷指標である8-OHdGが増加していましたが、アテロコラーゲン処理後はGSH/GSSG比が上昇し8-OHdGが減少、活性酸素の生成に関わるNOX1・NOX2・NOX4や炎症シグナルNF-κBの活性も低下しました。
また、コラーゲンを分解する酵素MMP1・MMP3・MMP9は老化した線維芽細胞で増加していましたが、アテロコラーゲン処理後はこれらの発現が減少しました。興味深いことに、アテロコラーゲンの効果は同量のグリシン単独処理よりも全体的に大きく現れており、研究チームはプロリンなど他のペプチド成分も併せて作用した可能性を示唆していますが、具体的にどの成分が関与したかは今回の研究では明らかにされていません。
細胞実験の結果が実際の肌組織でも同様に見られるか確認するため、老化マウスの皮膚にアテロコラーゲンを注入したところ、免疫組織化学染色でⅠ型・Ⅲ型コラーゲンの増加が確認され、Masson's trichrome染色でもコラーゲン線維の密度を示す青色領域が増加し、コラーゲン合成・線維密度・肌の弾力性の向上が観察されました。
レティージェンは他のコラーゲン施術と何が違う?
今回の研究から確認できるのは、レティージェン(アテロコラーゲン)が単に肌にコラーゲンを詰め込むのではなく、肌自らコラーゲンを再び作り出すよう促す可能性があるという点です。老化で蓄積した酸化ストレスや炎症、コラーゲンを分解する酵素の働きを抑え、肌のハリの核心成分であるⅠ型・Ⅲ型コラーゲンの生成を刺激する方向に働くと考えられます。
動物実験ではコラーゲン密度の上昇と肌の弾力の改善が確認されており、レティージェンは単に空間を埋めるフィラーというより、肌の再生を促すきっかけとなる注射として理解することができます。ただし、論文でコラーゲンが増加したという結果をもって「誰でも同じ肌変化が得られる」と断定することは適切ではなく、個人差があることを前提に考える必要があります。
明洞レティージェンを検討されている場合は、現在の悩みが肌のハリ低下なのか、ボリューム不足なのか、あるいは小じわや傷跡なのかをまず確認することが大切です。同じコラーゲン系施術であっても、注入部位や深さ、量、肌の厚みによって施術計画は異なるため、自然な肌の変化を目指すには、一度に多く注入することよりも、現在の肌状態を踏まえて必要な部位に適切な計画を立てることが基本になります。
よくある質問
レティージェンはフィラーとどう違いますか?
フィラーが主にボリュームを補う目的で使われるのに対し、レティージェンに使われるアテロコラーゲンは分解過程で生じるグリシンを通じて肌自らコラーゲンを作り出すよう促す可能性が論文で示されています。空間を満たすことに加え、肌の再生を後押しする働きが期待される点が異なります。
レティージェン施術は痛みがありますか?
個人の肌状態や施術部位によって感じ方には差があります。施術時の痛みが気になる場合は、事前のカウンセリングで肌状態を確認しながら適切な方法を相談することをおすすめします。
レティージェンの効果はどのくらいで実感できますか?
論文では動物実験でコラーゲン密度や肌の弾力の向上が確認されていますが、実感できる時期や程度には個人差があります。現在の肌状態によっても変化が異なる可能性があります。
レティージェンはどのような悩みに向いていますか?
肌のハリ低下や小じわ、コラーゲン量の減少による弾力不足が気になる方に検討されることが多い施術です。ただし、ボリューム不足や傷跡など悩みの種類によって適した施術計画は異なるため、まず現在の肌状態を確認することが大切です。
レティージェンは繰り返し受ける必要がありますか?
肌の状態や年齢による変化の程度は個人差があるため、繰り返しの必要性についても一律には言えません。現在の肌状態を踏まえたうえで、必要な計画を相談されることをおすすめします。